居宅介護支援事業所の経営

居宅介護事業の効率的な経営手法を考える---戦略的介護事業経営論

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18年度制度改正も一段落し、そろそろ周りが見え始めたころとも言える。
今回の制度改正では、介護報酬のベースアップと引き換えに、担当する利用者数が制限され、加えて新しい加算の創設(初回加算、特定事業所加算)と減算の創設(特定事業所集中減算)・強化(運営基準減算)が行われた。
制度施行前、多くのケアマネージャーや事業所経営者から、「経営ができなくなる」などを心配する声が寄せられたが、施行9ヶ月、市場はどのような状態なのか。

また、「介護サービス情報の公開」制度の下、実質ほとんど全ての事業所に毎年1回「調査」と「公表」のための“手数料”が提供サービス/事業所ごとに負担させることなども、弱小事業所のみならず大手にとっても大きなコスト負担となっている。
本レポートでは、「加算と減算」や制度改正により新たに創設されたコストを分析しながら、居宅介護支援事業所の戦略的な経営手法を考える。

加算と減算(飴とムチ)の分析
加算/減算名 条件(要約記載) 分析コメント
初回加算T
(該当者ベース加算)
250単位/人
@新規に居宅サービス計画を策定
A要介護状態区分が2段階以上変更
飴として有効な加算と言える。
初回加算U
(該当者ベース加算)
600単位/人
前回の算定から6ヶ月以上経過した30日を超えて入院入所後、退院退所。
特定事業所加算
(利用者全員加算)
500単位×計画件数
<過去3ヶ月で要件算定>
主任介護支援専門員の配置。
常勤専従の介護支援専門員3名以上。
中重度(3〜5)が60%以上。
地域包括から支援困難ケース受託。
減算要件に非該当
介護支援専門員の平均利用者件数が35件を超えない。
介護予防支援の受託をしない。他
経営的なコントロールで対応可能な要件は別として、「中重度60%以上」という要件は維持するのが難しい。 また、創意工夫が求められる。
主任介護支援専門員という資格が明確でない現状と資格取得機会の公正さを検討する必要がある。
ムチ
居宅介護支援費減算U
(利用者全員減算)
計画件数×0.6
取扱い件数が40件以上60件未満(40%減算)
平成19年3月分までは、経過措置として予防支援の受託分と経過的要介護分を取扱い件数から除外して算定してよい。
その後は、要介護と予防支援の受託の合計で、取扱い件数を算定する。2名以上のケアマネが所属する場合は平均値とするが、大きく偏る場合は指導の対象となる。
当初6ヶ月に加えて、12ヶ月の経過措置で担当件数から予防の受託と経過的要介護は除外されたが、ケアマネージャーの採用が間に合わず減算の対象になった事業所もある。このケアマネージャーの採用コストと減算のバランスを把握した対応が求められる。
居宅介護支援費減算V
(利用者全員減算)
計画件数×0.4
取扱い件数が60件以上(減算60%)
上記Uに順ずる。
特定事業所集中減算
(利用者全員減算)
200単位×計画件数
特定の法人に90%以上の集中。
但し、ケアプラン件数が20件以下の事業所は減算の対象にはならない。
制度改正後初めて9月に実施されたが、減算が確定すると10月から6ヶ月間にわたって減算となる。申告書の記入にあたり、90%超えた場合の理由として、どのような内容が有効なのか、検討したい。これだけは絶対に避けたい減算。
運営基準減算30%
(該当者ベース減算)
該当者×0.7
適切に担当者会議の開催
照会を行っていない。
適切に計画を利用者及び担当者に交付していない
月に1度の居宅訪問をしない
月に1度モニタリング結果を記録していない。
努力によって免れる減算ではあるが、これによって遠隔地在住者のケアプランは作りづらい環境となった。
運営基準減算50%
(該当者ベース減算)
該当者×0.5
「運営基準減算30%」を2ヶ月以上継続


情報公開のための調査
費用的には、都道府県、指定サービス事業によって異なるが、調査手数料と公表手数料をあわせて6〜7万円くらい。(年1回)
東京都の場合 http://www.fukunavi.or.jp/fukunavi/kohyo/tesuryo/tesuryo.html
提供サービス事業数×上記手数料のため、提供サービスを多くしていて、利用者の少ない事業所にとってはかなり大きな負担となる。
また、大手などは、拠点とサービス数を合わせると数百件数となるため、毎年、数百万〜数千万円の出費となっていく。
事業拠点とサービスの集約、バランス(選択と集中)が求められる。


戦略的視点での経営を考える
協同事務所として開業
これからの居宅介護支援事業所は、ケアマネージャーの協同事務所として開業した方が有利である。
1. 法人維持経費を按分することができる。
起業に当って、法人の設立、事務所の開設(賃貸、机、椅子、ロッカー、電話、パーテーション、OA機器などなど)初期投資が発生するが、協同事務所で設立することにより按分が可能である。
2. 各ケアマネージャーの活動エリアを周辺地域に拡大することにより、同一事務所、同一エリア内で担当地域の重複を避けられるため、利用者争奪が起こらない。
業務管理上、同一エリアで所属するケアマネージャー同士が利用者を争奪してしまうケースも発生するが、周辺エリアに拡大し、担当地域を明確にすることで、より地域密着した効率の良い経営が可能となる。
3. 特定事業所加算の対象となる可能性も選択できる。
障壁となる事項と解決手段
1. 業務管理の課題
契約書類や帳簿帳票類の管理は当然として、各ケアマネージャーの業務管理が求められるが、ASPによるケアプラン作成システムを採用することで、ケアマネジメントの進捗状態などは一元管理が可能となった。これによって、ケアマネージャー自身、自宅やサテライト・オフィスで業務処理が可能となる。
2. 利用者対応の課題
指定事業所には、パーテーションなどによって仕切られた相談スペースが必要となるが、相談事態はサテライトでも、利用者に一番近いサービス提供事業所のスペースでも良いので、本社とサテライト(利用者)が多少離れていても不自由はない。
3. 報酬の配分
初期投資を按分できることで良いこと尽くしのようではあるが、報酬について明確に規定しておくことをお勧めする。給与制にしてしまうと、各々の成果が必然として違うので、不公正不公平観で協同設立が破綻する可能性が高くなる。
報酬は“成果報酬”として、各月の成果の一定率の事務所維持経費を按分することが良い。


サテライト拠点としての視点
訪問介護事業所では“サテライト”という登録形態があるが、その他のサービス事業でないようだ。しかし、居宅介護支援事業所に“サテライト”の概念を取り入れると効率的な企業経営が可能となる。
従来、この視点が無かったのは、ひとえに業務管理と給付管理処理上の課題によるが、大手がIT化によって解決してきたように、中小もASPサービスの活用によって低コストで実行できる環境になった。


事業拠点の集約(中堅、大手)
大手のコムスンやニチイ学館などは、同一地域に隣接して事業所を多店舗展開しているが、今後は集約した方が良い。おそらく居宅介護支援事業に関しては、その方向に進むだろう。
本来、業務処理のIT化を推進することで、居宅介護支援事業所を数多展開する必要はないはずだ。“サテライト”という視点で、自社内のサービス提供事業所の相談スペースを利用したり、業務処理を行えば良いはずだ。
また、中重度シェアの高いケアマネージャー3名以上と軽度シェアの高いケアマネージャーの事業所構成を分けることで、特定事業所加算を加算できる環境対応も可能だ。
「介護サービス情報の公開」制度の下では、1指定事業所あたり毎年5万円弱の手数料が経費として発生してくる。100箇所もあれば、年間500万円の無駄な経費が発生する。
また、中堅規模で、多店舗展開を考える際にも、居宅介護支援事業所の指定を増やす必要があるか否か、今一度検討する必要はあるだろう。

無料相談承ります(但し、すべてe-mailにて対応)。

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