パッケージソフトとASPサービス
介護ソフトには大きく分けて、パソコン単体にインストールして使用する「パッケージソフト」タイプとインターネットを介してアプリケーションソフトをレンタルする「ASP」タイプの二通りのものが存在する。
どのタイプを選ぶかは、各タイプに機能性能的な得手不得手があり、価格差も大きいので吟味する必要があるだろう。
パッケージソフト・タイプ
使用形態によって二通りに分かれる。 |
使用形態1:スタンド・アローン(パソコン単体にインストール) |
| 使用形態2:クラアイント・サーバ・システム(通称クラ・サバ、C/S) |
使用形態の違いは、一人あるいはパソコン1台でしか使用しないのであれば“スタンド・アローン”で充分だが、パソコンは“壊れるもの”“トラブルが起こるもの”ということを前提にすると、データを全て失うという危険リスクと、マメにハードディスクにあるデータのバックアップをしなければならないという手間を覚悟しなければならない。
また、パソコン1台でソフトウエアを何人かのスタッフが使うとなると、パソコンに“行列”という「パソコン空き待ち残業」が発生することにもなりかねない。
一人でしか使わないということであれば、通常のパソコンではなく、サーバ機能のあるパソコン(ハードディスクを冗長化)をしようすれば、リスクと手間は回避できる。
上記のリスクと手間、そして業務処理の無駄を回避するために、“クラ・サバ”という使用形態を利用することになる。この場合のコストは2倍以上に跳ね上がることを覚悟する必要がある。
上記の使用形態によるコストを単純に比較すると、下記の表になる。
使用条件は、居宅と訪問介護を行う事業所とする。
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スタンド・アローン |
クラ・サバ |
| パソコン使用 |
サーバ機使用 |
サーバ+PC3台 |
| サーバ機(ソフト付) |
--- |
40万円 |
40万円 |
| パソコン |
10万円 |
--- |
30万円 |
| ソフトウエア |
100万円 |
100万円 |
220万円 |
| 保守(6万円/年) |
48万円 |
48万円 |
192万円 |
| 4年合計 |
158万円 |
188万円 |
482万円 |
※ |
新聞広告などで4〜5万円のサーバ機が広告されているが、そのままではサーバとしては使えない。ハードディスクを2重化して、RAIDコントローラーを入れると15万円〜20万円はアップする。サーバソフトを入れて40万円くらいは必要。
パソコンは、1台あたり10万円程度のもので想定。(パソコンの選び方を参照) |
※ |
ソフトウエアは、中堅クラスで50万円と想定。クライアント側は1台20万円とする。 |
※ |
保守については、最低年間1台6万円くらいとして、4年間で想定。
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クラ・サバタイプで4年リースなどを組むと、払い終わる頃には600万円強くらいのコスト・コースになる。
1台で使用する場合は、初期コストは多少掛かるものの、サーバ機を選んだほうが安心、快適である。 |
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ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)タイプ
2000年の現行の介護保険制度が開始された当初は大手企業も参入したのだが、イマイチ振るわなかったインターネットサービスのASP、大手も撤退をしてしまった。
その理由は、ブラウザの機能に左右され、なおかつ中央処理(データセンターのサーバ処理)に起因する機能、性能の不足にあった。
国保連への給付請求が毎月1〜10日に集中するため、ユーザの業務処理も集中し、サーバに“行列”ができてしまう避けられない課題ではあるが、この要因でサーバ負荷の大きい処理(帳票作成など)はなるべく少なくしたいという考え方も出てくる。
しかし、2004年以降、時代は“ブロードバンド”の浸透と「リッチクライアント(Microsoftでは“スマートクライアント”)による新しい技術が登場したことによりASPがかなり見直されている。
また、IP-VPN(仮想LAN)を使用したクラ・サバタイプのASPもあるが、運用コストが多少大きくなることが難点ではある。
ASPが見直されいる理由は2つある。
1. |
3年、5年で制度の見直しがされる介護保険制度では、制度変更のたびにソフトウエア・ベンダーの負担が大きい。この負担は開発コストに加え、CDを焼いて、梱包して、発送する送料、そして更新作業のサポート・コストと、開発費以上のコストが発生する。この負担がユーザにそのまま被さるので、ユーザのコストも大きくなる。その点、ASPならば運用側に開発コストしか掛からないため、ASPは運用側にやさしく、ユーザに負担が掛からない介護保険制度には“ベスト・マッチング”とも言えるシステムである。 |
2. |
基本的にレンタルなので、高額リースのような借金にならないし、利用料金そのものが比較的“やすい”ことが挙げられる。 |
ASPの場合は価格差は各社、さほどでもないが“機能・性能”差はあるだろう。
国保連への給付請求データを作成するレベルならば、“リッチクライアント”や“IP-VPN”によるASPは“クラ・サバ”(パッケージソフト)と同等の機能を有しているようなので、機能・性能面で優れている、とも言えるだろう。
ASPの単純なコスト比較は下表のようになる。
使用条件は、居宅(ケアマネ2名)、訪問介護を実施している事業所と仮定し、居宅利用者50名、訪問介護利用者100名ヘルパー30名、PC3台(パソコンの選び方を参照)で使用するとする。
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サーバ処理ASP (K社) |
リッチクライアントASP (L社) |
IP-VPNのASP (S社) |
| パソコン(3台) |
30万円 |
30万円 |
30万円 |
| 初期費用 |
18万円 |
13万円 |
45万円 |
| 導入研修費用 |
初期費用に含む |
5万円 |
未確認 |
| 月額利用料 |
4.4万円 |
3.5万円 |
9万円 |
| 回線料金/月額 |
3000〜6000円 |
3000〜6000円 |
8000〜1.2万円 |
| 保守 |
なし |
なし |
不明 |
| 4年合計 |
260万円 |
216万円 |
531万円 |
※ |
回線料金は、加算していないが、IP-VPNタイプはVPNを使用する関係で、グループアクセスなどの料金のみ加算している。 |
※ |
「K」社については、居宅とサービス事業を併用した場合に月額料金が“20%”割引になるということで、減額している。 |
※ |
「K」社の導入研修費用が「初期費用に含まれる」点については、HP上での記載はないが、直接K社から申し出があったので記載する。 |
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こうしてコストを4年のランニングコストとして比較すると、同一条件下での使用でのコスト比較では、“パッケージソフト”の半額弱で、ASPのリッチクライアント・タイプが利用できる。
但し、リッチクライアントタイプのASPは、ブロードバンド回線で速度が要求される。事務所のある地域が光ファイバーが使用できるか、あるいはADSLの基地局からの距離によって減衰していないか、などの諸条件が性能面を左右するので、事前の確認が必要だ。
コスト比較では、パソコン1台と割り切れば、パッケージソフトをスタンドアローンで使用することがコスト的には一番コストが低いが、本来、業務処理効率や手間を考えれば、ASPが断然有用である。
今回の比較では、パッケージソフト使用でのサーバ管理者など間接経費を考慮していないが、実際に運用が始まれば、クラ・サバタイプにした場合、サーバ管理のための人件費や委託コストが発生する可能性はかなり高い。
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次回のレポートでは、ASPタイプの機能・性能面の比較をしてみたい。
コスト的な価格の多少の差よりも、機能性能により、現在の業務処理の負担がどれほど軽減されるかに焦点を合わせることが、介護業務処理ソフトを選ぶ大きなポイントになるはずだ。
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